デンキ屋が20年前に語りたかったゲームセンターの話

現在電気屋の筆者がゲーム業界にいた頃の体験から語るゲームセンターとアーケードゲームの話。基本的には当時の記憶が頼りなので多少の間違いは大目に見てください。

20年前に語りたかったアーケードゲームの話(4) プレイ時間と満足度の関係

プレイ時間と満足度

アーケードゲームに求められる要素とコンシューマゲームで求められる要素には決定的に違う点がある。
それはもちろんインカムに絡む部分ということであるが、1回のプレイにおけるプレイ時間とその満足度である。
前にも語ったことであるが基本的にコンシューマゲームは1回ソフトを買ってもらえさえすれば一応成功と言える。
それに対して、アーケードゲームは最初のワンコインで客の心をつかめなければ終わりであり、少しでも飽きればすぐに離れられるというシビアな世界なのである。
制作側としては、じっくりと腰を据えてプレイ出来、ストーリーを重視したゲームの方を作れるコンシューマの方がよりクリエイティブに感じて魅力的であろう。
しかも意地の悪い言い方だが、前宣伝が上手ければ中身が伴っていなくてもそれなりには売上をあげることもでき、クリエイターの自己満足で終わるゲームができやすい環境であったと言える。
実際、初期のファミコンブームの時にはそんな元祖クソゲーが乱発され、私はそんなファミコンソフトを見ながらまだまだアーケードゲームの優位は揺るがないと思っていたものだ。
とにかく、アーケードゲームには短時間でプレイヤーを楽しませ、次のプレイに繋げる工夫が必須であり、その部分こそがクリエイターの技術で最も評価されなければいけないと思うのだ。

では、プレイ時間がどの位ならプレイヤーは満足するのだろうか。
以前大体の目安として3分前後がセオリーであるとしたが、例えばシューティングゲーム等の場合で序盤から1面クリアするかどうかという展開まで行けないと満足度が足りず、その為にはその位の時間がどうしても必要である、というのが理由である。
勿論プレイ時間が短ければ短い程インカム的には良いのではあるが、そういった満足度との兼ね合いを考えた時にこの時間設定となるのであろう。
シューティングゲームやアクションゲームにおいて、ストーリーや背景となる設定に力を入れたゲームはその性質からどうしてもある程度のプレイ時間が必要となってくる。
あまりプレイ時間が短いと、ストーリーを味わう暇が足りず物足りない印象を与えてしまうからだ。
そういった意味ではアーケードゲームとストーリー性というのは実は相性か悪く、逆に、じっくりとストーリーを追うことができるコンシューマとっては向いているということであろう。

だが、通常のゲーム以外の物、例えばクレーンゲーム等のプレイ時間はせいぜい1分程度である。
景品が取れれば元は取れるかもしれないが、余程の上級者でもなければ1回では難しいだろう。
それでも景品が欲しい、または取れなくて悔しい、もう一度やれば取れるかもしれない、という欲求や期待感からさらなるインカムを呼び込むのである。
要するに、プレイ時間と満足度は必ずしも直結している訳ではない、ということだ。

私が思うに、アーケードゲームにおける満足度というのはプレイした結果楽しかった、という満足感だけではなく、いかにプレイヤーを興奮させ、集中してプレイさせるかという言わば熱中度の度合いが重要で、プレイ時間の短縮、ひいてはインカムにつながるということである。